藻場再生の取り組みについて
藻場再生の取り組みについて
23年7月27日に国連のグテーレス事務総長は“地球沸騰化の時代が到来した”と述べ各国政府に劇的かつ早急な気候アクションの必要性を訴えた。
私が支援させて頂いているNPO様(海+SOU)の拠点地域である沼津市の大瀬崎では昔に比べて藻場が減少し真鯛の幼魚が見られなくなったという。また静岡県でまあじの養殖収穫量・産出額日本一といわれる、沼津市内浦三津でも黒潮大蛇行及び温暖化の影響等により23年夏季における水温上昇度が非常に高くなり養殖まあじの飼育が計画通りに進まなかった。TVでも紹介され、昼時は行列ができる漁協直営の人気名物料理処”いけすや”では"活きあじ"の提供が23年夏一時中断する事にもなった。漁業者にとって海水温の上昇と磯焼けの問題は大きな課題となっている。
内浦の海がどのようになっているのか?
静岡県の水産・海洋技術研究所様にご提示頂いたデータによると、沼津市の海水面の水温は8月下旬で29度となっていた。
あじの養殖では高水温(25度以上)ではへい死が増えやすく、あじにとってストレスがたまり、さらに28度以上になると死亡の増加及び成長の停滞が見られることもあるという。低密度で飼育しないといけなくなる点も出荷が滞ってしまう要因であるそうだ。
伊豆半島西部にある伊豆市、西伊豆町、下田市の沿岸域の状況を漁協様及び漁業関係者様に伺ってみても、過去最長の7年という長期に渡る黒潮大蛇行の影響で暖水が流入しやすくなる事で磯焼けが年々悪化し礒根漁業に大きな影響を与えているそう。伊豆半島西部の海女さんに話を伺うと昔に比べて鮑&サザエは漁獲量が減っていて、地崎では年間数10枚とれるかどうかであり、ピークの頃に見られたシワメも見られなくなったと話す。
2014年頃は分場の前の浜は荒天から回復して天気になるとカジメなどが沢山打ち上げられていて、打ち上げられた海藻の匂い、蝿などで苦情が出るような状態だった。2024年現在、伊豆下田海域では10M級の大型海藻が見られなくなったという。
分場の方にどのようにしていくと海藻が再生されていくか?という質問を行うと、多年草の大型海藻の森を一気に増やす事にこだわらず、増えていきやすいものを増やしていく事を念頭に置くべきであると述べた。
各地崎では黙って手を子招いているわけではない。静岡県の水産・海洋技術研究所と共同で磯焼けを回避するためにガンガゼの駆除及びガラモ場、カジメ場育成に取り組んでいる漁師も存在する。
※ウニ焼け帯はガンガゼの駆除に伴い改善が見られ、モクなどの藻場造成が進み、刺し網漁は続けられているという。
下田市の地崎では磯焼け対策としてのカジメの移植が漁協、水産・海洋技術研究所分場、漁師の人々により進んでおり、南伊豆~西伊豆の各地崎にてどのような場所・方法で藻場を再生していくのがベストなのか研究が進められていて25年3月には一定の成果が見られるそうだ。
※白浜121号(令和6年6月 静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場ニュース)より
私は各地崎における磯焼けの危機的状況を皆様にお伝えすると同時に、地球沸騰化に対する地方創生支援の取り組みを進めている。